生命活動力と呼ばれる「細胞力」

生命活動を支えている細胞

人体はしばしば「小宇宙」にたとえられます。実際、私たち人間の体の中では、どれほど精緻なコンピュータや精密機械でもとうてい及ばないほど、神秘と調和にみちた生命活動が行われているのです。その生命活動を支えているのがほかならぬ「細胞」です。

人体には60兆個もの細胞があります。それらの細胞の一つ一つが新陳代謝によって生まれ変わり、自己増殖に励んでいるのです。細胞に生まれつき備わったこのダイナミックな生命活動力を「細胞力」と呼びます。細胞力が旺盛に発揮されていれば、人間は健康でいることができます。逆に言えば、病気とは細胞力が衰えた状態なのです。60兆もの細胞たちには、それぞれ寿命があります。主な細胞のうち一番寿命の短い腸細胞で一週間から四五日、長いもので脳神経繊維細胞や心筋細胞の約150年と、非常に幅が広いのですが、平均では数ヶ月で寿命がつきます。そのローテーションから計算すると、毎日約七千億個が死んでいくと考えられます。

細胞活動と健康

体内でそれほど多数の細胞が毎日死んでいく、そう思うと気味悪く思うかもしれませんが、そこが小宇宙である人体の不思議なところです。寿命がきて活性を失った細胞は、異常を感知した周囲の正常な細胞に押し出され、すぐにばらばらになって崩壊します。そして、最終的には炭酸ガスと水、脂肪となって体外に排泄されるのです。

一方、寿命がつきた細胞が押し出されてしまうと、細胞の数が減ると思われるかもしれませんが、そんなことはありません。周囲にいる同種の細胞の中で一番若くて元気のいい固体が、核分裂によって新しい細胞を生み出し、その細胞が隙間を埋めるのです。

細胞の一つが死ぬと、新しい一つが生まれる。神秘としかいいようのないこの仕組みによって、人体の細胞の数は一定に保たれているわけです。細胞力が正常に働いていることで、この仕組みも正常に機能し、健康を保っているのです。